トップメッセージ
株主の皆様におかれましては、平素より格別のご支援を賜り厚く御礼申し上げます。
当社グループは、当期(2026年3月期)より5か年の中期経営計画『SHIP VISION 2030』をスタートしました。本中計では、これまでの「医療」「保健」「福祉」「介護」「サービス」の分野から、今後の中長期的な成長を見据えた新たな枠組みとして、「Well-Being領域」の開拓を本格化しております。今回のマネジメントメッセージでは、「Well-Being領域」に向けた事業拡大の考え方やポイントを中心に、当社グループが思い描く新たな展望の詳細をご説明申し上げます。
「2040年問題」を見据え、更なる改革を推進
日本は今、人口動態の変化に伴う構造的課題に直面しています。これまで国は、「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者となることで生じる「2025年問題」に対応する社会保障制度の改革を進めてきました。
しかし今後は、「団塊ジュニア世代」が高齢者となる2040年に向けて、少子化・人口減少・超高齢化が一層進行することが予想されています。この「2040年問題」への対応が、今後の重要な社会課題となっています。
2040年には、1人の高齢者をおよそ1.5人の現役世代で支える時代が到来するとみられています。このような社会構造の急速な変化を前に、医療・ヘルスケア業界も危機的状況への対応を迫られています。当社グループは、業界に先駆けて実施してきた改革を、今後さらに加速させる必要があると認識しており、その決意を示すものが『SHIP VISION 2030』です。
「Well-Being領域」への挑戦を本格化
新たな中期経営計画の策定にあたり、当社グループが最初に取り組んだのが事業領域の再定義です。少子高齢化が進む中、次世代を担う子どもたちがより良く育ち、高齢者がいきいきと暮らせる環境づくりがますます重要になります。
当社グループは、こうした未来へ向けて果たすべき役割を認識し、既存の枠組みを拡げ、「Well-Being領域」という新たな大きな枠組みへと事業領域を拡大することを明確にしました。つまり、従来からの「生命を守る人の環境づくり」を軸としながら、「人々がより良く生きる環境づくり」へと取り組みを広げていくということです。
当社グループは、「Well-Being領域」への挑戦をすでに数年前から開始しており、前中計期間には、本社を構える大阪府吹田市において、公園や図書館、スポーツグラウンドなどの指定管理業務を受託してきました。また、小・中学校や幼稚園・保育所など計84施設の管理業務も手がけ、地域に根差した実績を積み重ねてきました。
今後も、子どもたちがより良く育つ環境づくりに向けて、新たな事業展開を着々と進めてまいります。本中計期間において、「Well-Being領域」への事業拡大を本格化させ、「2040年問題」などの将来の社会課題に対応しながら、シップヘルスケアグループならではのソリューションを創出していく所存です。
コアとなる「医療・ヘルスケア領域」の事業を更に深化
「Well-Being領域」への事業拡大を支える基盤として、当社グループが最優先で取り組むのは、中核事業である「医療・ヘルスケア領域」の更なる深化です。従来からの「生命を守る人の環境づくり」という主軸事業を、次の成長段階へと進化させることが不可欠と考えています。その実現に向けた重点施策が、本中計期間における「グループ会社の再編統合」と「次世代物流構想の推進」です。これらの施策を通じて、医療・ヘルスケア領域における事業基盤を強化し、顧客ニーズへの対応力をさらに高めてまいります。
まず、グループ会社の再編統合については、調剤薬局事業会社を中心にグループ会社を再編し、2024年4月1日時点の65社から2025年9月30日には52社体制へと再構築いたしました。この再編により、経営判断の迅速化と経営資源の効率的な活用が実現され、グループ全体のシナジー効果を最大限に引き出す環境が整備されました。今後も段階的な再編統合を継続し、組織の最適化を推し進めていきます。
同時に、医療・ヘルスケア業界にロジスティクス・イノベーションをもたらす次世代物流構想を推進しています。大阪に加えて首都圏にも物流拠点を整備することで、グループの物流ネットワークを強化し、全国網羅型の商社として顧客とメーカーの双方から信頼される集団を実現していきます。効率的な物流体制は、再編統合によって強化された組織力と相まって、お客様への迅速で質の高いサービス提供を可能にします。
このように、グループ会社の再編統合と次世代物流構想の両輪を回すことで、医療・ヘルスケア領域のコア事業を更に深化させ、当社グループの競争力を飛躍的に高めていく所存です。これらの施策は、次なる成長段階を実現するための重要な基盤となるものと確信しております。
当社グループは、積極的な成長投資と株主還元を両立させた最適な資本配分を推進し、企業価値の最大化に取り組んでまいります。株主の皆様におかれましては、当社グループの新たな挑戦にご期待いただき、引き続きご支援とご指導を賜りますようお願い申し上げます。
新中期5ヵ年経営計画(2026年3月期~2030年3月期)「SHIP VISION 2030」
拡大するヘルスケアニーズに応えながら、高付加価値型の事業運営を推進
